イエスセットとダブルバインドという言葉を聞いたことは無いでしょうか?

 

元々は心理療法等で使われていたテクニックで、臨床上での用法を知っていれば日常シーンの殆どで使えないことが分かるはずですが、なぜか会話やナンパ、交渉のテクニックとしてしばしば紹介されているようです。

 

イエスセット:

「はい」と答えることが出来る質問を繰り返し、その流れで「はい」と言わせるテクニックみたいな紹介のされ方をしています。

 

大きく間違っていはいないんですけどね…

 

大きく間違ってはいないのですが、このテクニックを日常で使ってくる人がいたらはっきりってキモいと思と思います。

というのも、催眠療法等で使われていたイエスセットも「はい」と答えられる質問を使うところまでは同じですが、質問する回数がまず違います。

 

大体20〜30個を1つのセットとしています。

想像してみて下さい。大して好みではない異性から30個近くのクダラナイ質問を連続でされている所を…「はい」「いいえ」以前にそんなことをされたらうんざりして、二度とその人と会いたくなるはずです。

 

そもそも、流れで「はい」と言わせるというのがおかしいんですよ…

これは連続でイエスと答えさせることによって意識レベルを低下させ、無意識への働きを強くするのが目的で、そこから催眠導入に繋げる場合によく使われる技法なわけです。

うっかり「はい」と答えさせることが目的で無いのです。

 

続いてダブルバインドについても

「飲みに行くなら金曜日が良い?それとも土曜日?」

「食事に行く?それともカラオケ?」

こんな感じの話し方をダブルバインドと紹介されはいませんか?

実はこれエリクソン的には単に「バインド」、又は「タイムバインド」と呼ばれるテクニックです。

 

どちらを選択したとしても、「出かける」という最初にこちらが意図した結論に導けるという技法ですが、ダブルバインドではありません。

 

では、ダブルバインド的な言い回しとはどういうものか、考えてみた結果とあるライトノベルの登場人物が使う言葉に思い至りました(^ρ^)

 

「バカなの?死ぬの?」

作者はきっとこれがダブルバインドとして考えたのではないと思いますが、これは非常にダブルバインド的な罵り方となっています。

 

そもそも、ダブルバインドのダブルとは2つの選択肢に掛かるのではなく、「意識」と「無意識」に掛かるからこそダブルなわけです。

さらに言うと、エリクソンのダブルバインドは同じ意味の言葉を2回するだけでなくて、全く正反対の矛盾した選択肢を提示することもありますし、ついでにいうと、両方の選択肢を拒絶する或いは両方を選択するということも出来るように成っています。

 

決して行動を強制するためのバインド(縛り)では無いところにポイントがあります。

 

上記の「バカなの?死ぬの?」を分析してみましょう。

この言葉を言われた場合、思考は次のパターンになります。

1.バカだから死なない

2.バカではないので死ぬ

3.バカだし、死ぬ

4.バカではないし、死なない

5.相手はどちらかを認めて欲しいと思っている(含意)

6.実は冗談で言っている(含意)

 

5と6は勢いで書いたものですが、1〜4は普通に考えれば想像が付くかと思います。

実際には前後の流れでニュアンスが伝わりますし、そのニュアンスこそが重要なのです。

エリクソン催眠では「含意」と呼ばれるテクニックがあってそちらの説明からするべきなのですが、面倒なのでそちらは次に機会があって覚えていれば書きます(書くとは言ってない)。

 

重要なのはこちらもイエスセットと同じく、トランス状態へ誘導するために使われるテクニックであり、目的は相手の意識ではなく無意識に選択させたり、働きかけるためだということです。

 

確かに、一時期マーケティングの手法としてタイムバインドが流行ったじきもあって効果も出ました。しかし、最近ではその手法が広く一般的に知られてしまった為に効果が激減しているという話もマーケティング関連の本などに書かれています。

 

これは会話テクニック?としても同じで、はっきり言って時代遅れの手法だと私は感じています。

 

そもそも、ダブルバインドでもないからね!

 

結論としては、イエスセットもダブルバインドも、本来は臨床における施術者とクライアントという関係があってこそ成り立つもので、対等な関係では効果がほとんど無い上に、ダブルバインドに関してはそもそも意味を間違えているということです。

 

単にバインドと呼ばれるテクニックも昔は効果があったかもしれません。

しかし現代では心理雑学が一般的になっていますし、有名なテクニックは通用しない可能性も考慮すべきだと私は思います。

 

ミラーリングなどでもそうですが、相手がそういうことをしていると気がついた時の気まずさは何とも言えません(笑)

相手にテクニックが伝わってしまうと、本来は自分が優位になるはずのテクニックにもかかわらず、逆に自分の立場を追い込むことになってしまい、正に策士策に溺れるという状況に陥ります/(^o^)\

 

どうせやるならちゃんとしたダブルバインドを使ってみるというのも一つの手ではありますが、出来るかどうかは分かりません。

 

エリクソン催眠の実践家を自称している私でも、ダブルバインドはほとんど使わないくらいです。

 

何故かと言うと意識と無意識を縛るワードがそう簡単にポンポン思い浮かばないから。

しかもこれはテンプレートでは意味がなく、相手とその時の状況に合わせて適切に用意する必要があります。

(エリクソン関連の書籍は英語からの翻訳なので、翻訳文をそのまま使うのは日本語として不自然になるので、ある程度基礎を押さえた上で自分で考える必要がある)

 

幸い現時点で個別に催眠をやってトランス状態へ導けなかったクライアントはいないので、わざわざダブルバインドという技法に手をだす必要が無いというのもありますが、切り札は多いほうが良いので目下習得中のテクニックのリストには入っています。

 

心のメモ等に書いている程度ですけどね…

 

更に言ってしまうとダブルバインド的な言い回しは結構支離滅裂に聞こえる場合があります。

これはまぁ目的が意識と無意識を縛るためだからなのですが、よく聞くと結構無茶苦茶だったりするので時と場合を選ばないと、所謂「変なやつ」になる可能性が…

 

「バカなの?死ぬの?」

 

無茶苦茶ですよね…?

 

“[JEAN]イエスセットとダブルバインドの誤解” への1件のコメント

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