スライハンドには筋肉が必要。

 

私の持論ですが、マジックにおける技法の習得と筋肉には密接な関係があると考えています。

 

マジックの技法、テクニックも一種の運動であるので、スポーツの運動理論が当てはまるはずだからです。

 

数日〜数週間毎日練習しても出来なかった技法が、練習をやめて数日経ったら出来ていたという経験が人によってはあるかと思います。

このことから技法の習得と筋肉は関係していると予想されます。

 

筋肉トレーングで最も効率の良い方法は2日に1回やるとういうものですが、その理由については超回復やらなにやら色々あるので興味のある方は是非調べてみて下さい。

 

では、理想的な周期でやらずに、毎日トレーニングするとどうなるのでしょうか?

 

筋肉が回復する間もなくトレーニングをし続けると、筋肉が効率よく付きません。

一応、効率が落ちるだけなので、トレーニングを終えてから数日間を空けると筋繊維の断裂が修復されて筋肉が大きくなります。

 

これは毎日練習しても出来なかったことが、数日休んだら急にできるようになったという現象の理由ではないかと私は考えています。

(他にも神経学や認知心理学の要素もありますが、今回は筋肉がメインとうことで…)

 

特に初めてやる動作は、そう動かすための筋肉がまだ未熟なため動きが上手くできません。そこで練習を通して必要な筋肉が付き、意識的に動かせるようになってから動作が出来るようになります。

そして、その筋肉を付けるというのは毎日よりも間に日を置いたほうが効率が良いわけです。

 

逆に毎日練習したほうがいい場合もあります。

 

動きがある程度できている場合。

動きがある程度出来るということは必要な筋肉が既に付いているので、練習する目的が筋肉を付けるためには無いからです。

 

プロのアスリートが何故毎日練習するか知っていますか?

もちろん、筋肉量を保つというのも1つの答えです。

 

実はプロのスポーツ選手は数ヶ月練習をしなくても技術が落ちることが無いと言われています(テニス界の話ですが)。

練習をする最大の目的は、その技術を行なうためのリソースを減らすためです。

 

これもまたテニスの理論を引っ張ってきていますが、1ポイント間に使えるリソース(集中力を含む能力みたいなモノ)の総数10として考えるというものがあります。

 

例えば、サーブを打つのに7のリソースを使ったとします。するとサーブ以降のプレイは残りの3を使って対処する必要があるということです。

サーブで7、そのリターンの対応で2を使ってしまったら、残り1しかないので、その1のリソースでラリーやプレイスメント(位置取り)を調整したり、瞬時に決めなくてはなりません。

 

そこで、サーブでリソースを7使っていたところを2までに減らそうというのが練習をする最大の目的です。

サーブに費やすのが2だけであれば、他のプレイにより多くのリソースを使えますし、余力を残すことも出来ます。

 

如何にリソースを節約できるかによって勝敗が分かれます。

 

ちなみに、プロの場合キャパシティ(能力の上限)は練習をしてもそれほど増えないとも言われています。これは既に極限まで運動能力や技術を上げた人だけがプロになれるからで、テニスの男子プロの場合トップ100以内であれば技術的な差はほぼ無いとも言われています。

(テニスは競技人口1億人以上と言われているので、選手層が厚くトップ100の時点でかなり超人的ですし、日本人でトップ10に入るのは奇跡的)

 

 

このキャパシティとリソースという考え方はマジックなどにも応用が出来るかと思います。

 

新しい技法を覚えるのはキャパシティを増やすことにあたり、動きを最適化することはリソースを節約することにあたります。

 

例えば、マジックのルーティンでスライハンドで現象を起こす時にリソースを7使ってしまったら、残り3で他の部分、例えばセリフや客のコントロール等をしなければなりません。

 

連続で高難易度のスライハンドを繰り返せば、熟練していなければすぐさまリソースが枯渇してしまうのが分かるかと思います。

枯渇した状態でマジックを続けても、セリフは適当になり、客のコントロールにも気が回らず、技術的に難しいことをやりつつ更にはウケないという非常に残念なことになる可能性が高いわけです。

 

スライハンドの練習をするのはもちろん、予めセリフをしっかり書くことが推奨されるのも、リソースを節約するためだと理解できます。

アドリブは決まったセリフを言うよりも必要なリソースが多いのは想像に容易いですよね?

 

ここで一旦整理すると、トレーニングには2種類あります。

1つ目がキャパシティを増やすためで、これは筋肉のトレーニングも含まれます。

2つ目は筋肉を維持し、更にリソースを減らすためです。

 

筋肉を付ける必要のあるトレーニングは2〜3日に1回のペースで行い、筋肉がついて動けるようになってからは毎日トレーニングをするというのがベストな方法だという説を提唱します。

もっというと練習うした後にプロテインを摂取すれば更に効率アップが見込める気もします(^ρ^)

(誰か実験してみてくれないかなぁ…)

 

また、マジックはスポーツとは違いリソースを節約するのにもっと楽な方法があります。

 

既にお気づきの方もいるかと思いますが、それはギミックを利用することです。

 

ギミックを使うということは、その現象を起こすためのリソースをスライハンド的に解決するよりも遥かに節約出来ます。

 

職業的マジシャンで、物凄くスライハンドが上手い人でも、ギミックを使うことに対して否定的な人が少ないのはそのためだと思われます。

 

その極地に居るのがメンタリストと呼ばれる、メンタリズム(≒メンタルマジック)を行なう人たちです。

ほとんどのメンタリズムはギミック的な解決方法を取っており、純粋な能力を使ったものは極一部に限られているからです。

(実はこれ自説ではなく、ルーク・ジャーメイがこういうニュアンスの発言をしていたりする)

 

スライハンドを使ったマジックより、ギミックを使ったマジックのほうが驚きを得やすいのは単純に現象だけでなく、リソースの問題で、スライハンドだけでやると他の部分が疎かになりやすいのが原因だと思われます。

 

もちろんギミックにもリソースの概念があてはまり、ギミックの扱いに精通していないとそこにリソースを割くことになり、結果、良いギミックを使っているのに、なぁなぁで盛り上がりに欠ける面白くない演技になることもあります。

 

ギミックさえあればマジックが出来ると思ってる人が、いざ道具を買ってマジックをしても全然ウケなかったってこともリソースで説明がつきますね(適当)

 

 

 

(JEAN)